脳神経外科
脳神経外科について
脳神経外科は、脳・神経・脳血管にかかわる疾患を対象とした診療科です。疾患名としては脳卒中(脳梗塞や脳出血)、脳腫瘍、頭部外傷を中心に様々な疾患を扱います。どの疾患も発症・進行すると生活の質を著しく低下し、生命に関わることも少なくありません。これらの疾患を既に発症している方には再発・悪化しないように治療と定期的な観察を行うことが大切です。発症する可能性を低くするための予防治療や疾病の早期発見は、患者様とより密接な関係を築くことができる私たち地域のクリニックの役割と考えています。
代表疾患
脳梗塞
脳梗塞は、脳血管が突然詰まり血液が到達しなくなった脳細胞が死に至る疾患です。病変の部位や大きさによって麻痺、しびれ、しゃべりづらさ、歩行障害、視野障害、めまいなど様々な症状を呈します。脳血管・頚部血管が細くなる動脈狭窄症が原因の場合と、脈拍のリズムが崩れる不整脈が原因の場合に大きく分かれます。細胞死に陥った脳神経細胞が完全に回復することはありません。つまり脳梗塞は発症予防・再発予防治療が重要となります。当院ではMRI検査・超音波検査・血液検査で疾患リスクを評価し、適切な予防治療を開始します。発症急性期で外科的治療(血栓回収療法)や入院での薬物治療が必要な症例、脳梗塞リスクを低減するために外科的治療が望ましい症例(内頚動脈狭窄症や内頚動脈閉塞症)については速やかに関連病院へ紹介させていただきます。
脳動脈瘤
脳動脈瘤は、脳血管が風船のように膨らむ疾患です。破裂するとクモ膜下出血を引き起こし、約1/3の頻度で死に至る疾患です。破裂前に発見することが重要で、破裂予防手術(コイル塞栓術やクリッピング手術)を行うことで破裂率を下げることができます。頭部MRA検査で診断することが可能です。脳動脈瘤が発見された場合、大きさや形状などから破裂率を評価し、患者様の年齢や背景から定期的な経過観察と外科的治療の何れが望ましいのかを提案させていただきます。外科的治療を検討する必要がある症例については速やかに関連病院へ紹介させていただきます。
脳腫瘍
脳腫瘍は良性と悪性に大きく分かれます。頭部MRI検査を行うことで診断することが可能です。小さな良性脳腫瘍で症状がない場合は、定期的な画像検査を行い拡大の有無を評価していきます。良性脳腫瘍の中にも大きさや発生部位によっては、頭痛・めまい・視力障害・運動障害などの症状を伴い、治療を検討する必要があります。
一方、悪性脳腫瘍は数カ月単位で生命を脅かすため、画像検査で悪性脳腫瘍を疑う症例については早期に十分な治療(外科手術、放射線治療、化学療法)が可能な関連病院へ速やかに紹介させていただきます。
頭部外傷
頭部外傷は事故や転倒などによる頭部への打撲や損傷により発症します。脳震盪、脳挫傷、硬膜下血腫などがあり、重症度に応じた治療が必要です。学校で生徒同士がぶつかった、クラブ活動中にボールが当たって気分が悪い、ミカンを採っていたら滑ってしまったなど、様々な受傷の原因が考えられます。症状(嘔気、頭痛、めまいなど)を認める場合、少しでも不安な場合は是非とも受診してください。頭部外傷は受傷後数時間で急激に病態が進行し、生命を脅かすことがあります。当院では即日MRI検査を行い、悪化するリスクを評価します。少しでもリスクを伴う場合は、救急対応が可能な関連病院へ速やかに紹介させていただきます。頭部外傷の多い小さいお子様に対しても、放射線被爆のないMRI検査を短時間で実施しています。また、受傷後数カ月経過してから麻痺や歩行障害、意識障害が出現する慢性硬膜下血腫という高齢者に多い疾患もあります。MRI検査で診断が可能です。気になる症状がある方は是非とも受診してください。